従業員の参加意識を促す人事評価制度の作り方

人事評価制度を導入されている、もしくはこれから導入を検討している人事担当者の方に問いかけたいのですが、その人事評価制度は何を目的としている制度でしょうか。もしかしたら、業績(成績、成果)評価、能力評価、情意評価などの項目を設定して、その評価によって等級や昇格・降格、役職の任命、給与の決定を行うことが主目的になっていませんでしょうか。

人事評価制度で一番大切なことは、人材育成のための制度であって、教育・キャリアパスの運用を行えることです。そして、従業員のモチベーションを引き出し、従業員自身もどのようにキャリアを築いていきたいか考えることができるキャリアマップが用意されているべきです。何をすれば成長できるのか、目標が分かりやすく設定されていて、キャリアチェンジも可能である。職業生活に対して具体的にイメージを持ちながら、設定した目標に対して挑戦していく、チャレンジングな環境作りも含めて制度設計されていることが望ましいです。そして、組織を活性化させる上で重要な役割を担うのはリーダーです。そんなリーダー意識を醸成するために重要なサーバントリーダーシップというリーダーシップ哲学の話も織り交ぜながら、人事評価制度の作り方について説明をします。

企業理念とビジョンの共有

企業理念とは、企業の存在価値そのものです。何のために存在する企業なのかが明確でないと、何のために働いているのか従業員は分からなくなりますよね。中には、ただ給料さえ貰えればそれでいいと思う方もいるかも知れませんが、働くことに意味を見出したい方もいるわけです。そういった思いを持った従業員こそ、企業理念がしっかりと伝わっていれば、モチベーションも上がりやすいと考えられます。もちろん、従業員の思い描いている理想とのギャップがないことが前提ではありますが、企業理念とはそれほど重要なものだということです。そして、明確なビジョンが描かれているかどうかです。企業理念と明確なビジョンがしっかりと従業員に共有されていることが何よりも重要です。何のために頑張って働くのか、それをトップやリーダーがしっかりと理解し、従業員の全員に漏れなく伝えることができているかどうかで企業の命運は変わるはずです。

 人事評価制度の運用で情意評価や目標管理において、この企業理念やビジョンの共有をリーダークラスがしっかり行えているか、また、チームの従業員にその共有がされているかを図るための指標を設けることで、より、従業員が企業に関心を持つことができるようになります。つまり、企業活動に関心を持ってもらうきっかけ作りのツールとして、人事評価制度を運用することができます。誰にでも分かりやすい制度であることが肝要です。

従業員全員に参加意識を持ってもらう

大切なのは従業員全員に参加意識を持ってもらい、人事評価制度を運用することです。何のための評価で、何をすればどのような評価がされるのか、従業員一人ひとりが理解できるような仕組みづくりが欠かせません。クローズドな制度では意味がなく、どのように運用されているのか、また自分自身の評価や目標管理、そのフィードバックなどの情報が一元化されていて、自由にアクセスできる環境が理想的です。クローズドな制度では、何を評価されているのかも分かりませんし、何を頑張ったら評価されるのかが分からないため、制度設計として価値はないと言えるでしょう。全員参加の意識と、従業員一人ひとりが企業の経営に何らかの形で関わっているという意識を持ってもらえるよう、人事評価制度で企業理念やビジョンの浸透という役割を持たせることができれば、まさに活きた制度になるはずです。

人は大抵、やらされ仕事はつまらないと感じるものです。しかし、意義のある仕事をしている時は活き活きとするものです。人事評価制度も同じです。寛大化傾向やハロー効果などの揺らぎがあるのは別の課題であり、評価項目そのものを意味のあるものにすることで、制度としての完成度は格段に向上します。従業員全員が自分ごととして制度運用を行なえるように、人事評価制度の中に分かりやすいビジョンを盛り込んでいきましょう。

課業の洗い出し

 課業とは、タスクの一つひとつのことです。人事評価制度を実用的な制度にするためには手間がかかりますが、従業員それぞれが行っている業務の内容を洗い出して明文化していく作業も必要になります。能力評価を適正に行う上で、どのような仕事があって、その仕事は入社何年目くらいで求められているのか、どれくらいの仕事ができるようになれば自分は成長できているのか、そういった尺度となるものを作り込んでアップデートをしていく必要があります。この作業は人事担当者だけではできません。現場を一番よく知っている従業員や各部門の協力が必要不可欠です。一つひとつ丁寧に書きだしていくのは時間のかかる作業だからこそ、いきなり完成させることを目的とするのではなく、アップデートを繰り返していくものになります。

リーダー意識を醸成する

サーバントリーダーシップという言葉をご存じでしょうか。簡単に説明すると支配型とは真逆のリーダーのことです。アメリカの教育コンサルタントであるロバート・グリーンリーフが、1970年に「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」と提唱しました。会社生活のほとんどを、マネジメントの研究や開発、教育に捧げてきた人物でダートマス大学やヴァージニア大学で教鞭とるなど精力的に活躍し、その教育論についての著書もあります。そう難しく考える必要はないかも知れませんが、支配型のリーダーシップでは、部下は完全に管理されてしまい、指示待ち人間になってしまいます。その逆を行えばどうなるか、それがサーバントリーダーシップだと説明するのが一番分かりやすいのではないでしょうか。

優れたリーダーが多いほど、組織力は向上します。そのためにはリーダーに求められる資質についても人事評価制度や目標管理の中で醸成できるように仕組みを作っていくべきです。そのため、人事評価制度は柔軟にアップデートしやすいように設計することが肝になります。組織の中で良いリーダーが育っていれば、そのリーダーの歩んできた道筋をリーダーシップのための課業に落とし込んでいけばいいわけです。スピード経営を意識するなら、外部コンサルタントを入れてしまうのもいいでしょう。しかしながら、その企業ごとの組織風土や、その企業に属する従業員ごとの性質の違いがありますので、パッケージ的な制度を導入するより、多少、時間をかけてでも企業文化に寄り添った制度を構築していくのが望ましいと思われます。時間をかけて、サーバントなリーダーを増やしていくことは、地味で地道な努力が必要かも知れません。泥臭い感じもしますが、組織風土を醸成するのに時間がかかるように、リーダーの育成も時間がかかると思った方が良いように考えます。それを従業員が自分たちの手で作り上げていくのです。

従業員の参加意識を促す人事評価制度と題しましたが、人事担当者に求められるのは制度設計のための情報の整備や制度の見える化促進です。それらを効率的に行うにはDX化、つまりクラウドなどのシステムを運用するのは必須だと言っても過言ではありません。弊社は、そのような強い組織作りの支援をしているクラウドサービスを事業としています。1on1でのチーム作り、360度評価、目標管理(OKR)、人事制度の構築など、企業の変革と成長を支えるシリコンバレー生まれの会社です。組織作りや、人材育成、健全な組織作りを支援しておりますので、何かお困りごとがあれば、気軽にご相談ください。全力で私たちが支援させていただきます。