人事評価のウェイトについて

一般的な人事評価において、評価項目に違いはあっても、概ね、業績(成績・成果)評価、能力評価、情意評価が設定されていることが一般的です。この3つの分野において、半期ごとに年に2回、被考課者が自己評価を行い、上司である一次考課者、二次考課者と、少なくとも3人以上が評価に関わることになります。これが多くの企業で導入されている人事評価制度です。

 さて、評価には大きく分けて3つの分野があり、それぞれの分野において細目となる具体的な評価項目が設定されています。そして、そのひとつひとつに評点がつけられて、その総合点数によって、その期による評価が決められることとなります。ここで企業によって違いがあると思いますが、評価項目ごとの重み(以下、ウェイトと表記)があることを従業員が理解できるようになっている場合とそうでない場合があります。もちろん、企業ごとに評価すべきポイントも違うため、どの評価項目に対してウェイト配分を設定しているかも違っていることでしょう。

そもそもウェイトとは何か

人事評価制度において、従業員の業績等の評価を公正に行うため、業績(成績・成果)評価だけで判断しないように、また、職種によって業績評価がしづらい場合もあるため、できるだけ客観的な評価が行えるように、評価項目の細目ごとにウェイトを設定しています。企業によって差異はありますが、職種ごとに、細かくウェイトの設定をしている企業もあります。例えば、総務職など、業績評価がしづらい職種では営業部などと比較した際に、業績評価のウェイトが低く、能力評価と上位評価のウェイトが高めに設定されていることもあります。このウェイトは言わばポイントのようなものであり、0.1点、0.2点などのように点数として定数的なものです。A評価なら4×0.2点、B評価なら3×0.2点といったように、評価項目の細目ごとに評価をするために設定されています。これがウェイトというものです。

内容に応じてウェイトは変わる

つまり、企業にとって求める人物像や業績として評価したい項目にはウェイトを大きく設定することで、従業員に対して、組織がどのような人材を求めているかが分かるように人事評価制度を設計することができます。従業員に対して、能力評価や情意評価にも目を向けさせることができる仕組みを作ることも可能ということです。何を頑張れば良いかの指標にすることもでき、組織に対して貢献度の高い項目のウェイトを大きくしておくことで、従業員はそれを事前に知らされている場合には、ここを頑張ればいいのか、または、前回はここが悪かったから、そこをもっと意識すればいいのかといったことが分かるものになります。企業によって、従業員へウェイトの開示を行っているところもあれば、そうでないところもあります。どちらが正解というわけではありませんが、意図して、従業員に評価基準を明確に伝えておこうという主旨であれば、ウェイトの開示は行うべきでしょう。

仕事の重要度を明確化する

ウェイトの開示を行うことで、従業員は組織が何を自分に求めているかがより分かりやすくなります。例えば、通年で2年連続して総合評価としてA評価であれば等級が上がることが規定に定められていれば、そのA評価を取るためには、自分に何が足りてなくて、何を頑張れば客観的な評価を得られるのか、また、自分自身も良い評価であったと自信を持ってつけることができるのかということです。評価の悪かったところは評価項目の細目ごとのウェイトを確認することで、その業務または課業が自分には難易度が高いのか低いのかといった指標を持つこともできます。難易度が高い項目には高いウェイトが設定されている傾向があるからです。そうすることで、従業員は様々な仕事の中で何が重要なものなのかがより明確に分かります。組織はこのような能力を持った人材を求めているのだと。向上心の強い従業員であれば、何もしなくても良い評価を積み重ねていくでしょう。しかし、そうでない従業員には進むべき道を示さなければ、何を頑張っていけばいいのかが分からずに、悪く言えば他動になってしまう場合もあります。そのため、仕事の重要度を明確化させることは、まさに道標となり、従業員に頑張って欲しいことを明確化することができるということに繋がります。

戦略的にウェイトを配分する

そのため、ウェイトの配分はとても重要です。大抵の企業では従業員数が増えれば、それだけ職種も多くなってくることでしょう。人事評価制度導入後に、そのように拡大路線を辿っていく企業もあるはずです。ここでウェイトの配分が職種ごと、または等級ごとに細かく設定することができているかどうかが重要となってきます。人事戦略としては、中長期的な人材育成が課題となりますが、どのように育って欲しいか、道筋を立てなければなりません。いわゆるキャリアプランニングです。目標管理と合わせて、各ポジションの従業員にそれぞれどのような役割を果たして欲しいのかを明確にしておくことで、従業員は自身のキャリアプランを理解することができます。当然ながら、企業理念なども考慮した上で自身が組織に合わないと感じて、離職する従業員も出てくるかも知れませんが、それ以上に目標に向かって一歩一歩ゴールを目指す従業員が増えるはずです。もっとも、離職を選んだ従業員は、同じ方向を向いて走れないメンバーかも知れませんので、去ってしまっても問題はないかとも考えられます。それよりもやる気のある従業員のモチベーションを高める方がより効果が大きいと言えるでしょう。

人事担当者や経営層にとって、このウェイト設定および人事評価制度の設計は簡単なものではありません。通常の業務を行いながら、毎期ごとに人事評価制度の運用をしていくのはかなり難しいと言えるでしょう。組織において一番重要なものは何かと問われれば、多くの経営者は「人」と答えるでしょう。しかし、一番、疎かになっているものは何かと問われれば、これもまた「人」という回答が返ってきます。分かっていても中々、運用できないのが人事評価制度です。とはいえ、何も手をつけなくても良いはずはありませんので、人事担当者は自分の抱えている業務をいかにDX化していけるかが課題と言えるかも知れません。

 人事評価制度は客観的に公正な運用をして、初めて活きる制度となります。従業員にとって価値のあるもの、従業員のやる気を引き出すことができてこそ、人事評価制度は意味を成します。弊社は、目標管理(OKR)や1on1など、クラウドでの支援を得意としております。現在、人事評価制度はあるが上手く運用できていないなど、困りごとなどのご相談にも応じております。経営を左右するHR領域にて企業をご支援しておりますので、組織作りや人事評価制度の刷新など悩みごとがございましたら、お気軽に弊社までお問合せください。